仮想通貨の4つのタイプ
仮想通貨の時価総額ランキングなどの情報が掲載されているCoinMarketCapには、2019年9月3日時点で2,347の仮想通貨が掲載されています。
それぞれの仮想通貨はどれも独自の特徴を持っていますが、全ての仮想通貨は4つのタイプに分類できます。
デジタル資産:長期的な資産保有に向く
デジタル通貨:日常的な決済に向く
ユーティリティトークン:特定のサービスや商品購入に利用
セキュリティトークン:価値ある資産をトークン化
また、上記の4つのカテゴリーは、完全に独立しているわけではありません。仮想通貨によっては、複数のタイプにまたがる場合もあります。
タイプ別の特徴
デジタル資産
例:ビットコイン(BTC)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)
デジタル資産としての仮想通貨には、3つの特徴があります。
- 将来的に資産としての価値を維持できる
- 長期保有にかかるコストが安い
- いつでも売買できる(流動性が高い)
これまでは、現金、国債、金、不動産などが優良資産とされてきました。しかしこれらは、インフレによる価値の目減り、保有にかかる高いコスト、流動性の低さによる相場とかけ離れた金額での取引など、いくつかの欠点があります。
しかし仮想通貨の場合、ハードウェアウォレットに保管しておけば、保管のコストはゼロです。さらに、仮想通貨取引所でいつでも一般的な金額で売買可能です。
とくに時価総額が圧倒的1位のビットコインは、需要、流動性、希少性、安全性、コストなど、あらゆる面で既存の資産より優れていると考えることもできます。
デジタル通貨
例:ライトコイン(LTC)、ダッシュ(DASH)、モネロ(XMR)、IOTA(IOTA)
これらの仮想通貨は、日常的に利用されることを目的に作られました。Facebookが開発を進めるリブラ(Libra)も、これに該当します。この分野では、VisaやMasterCardが競争相手になります。
成功するには、次の点が重要になります。
- 利用できる店舗の多さ
- 銀行との提携
- 信頼性・安定性
- 決済スピード
VisaやMasterCardは非常に大きなライバルです。しかし、欠点がないわけではありません。
従来のクレジット・デビットカードサービスは、販売者(店舗)が1~2%程度の手数料を支払う必要がありました。これは、販売者にとってとても大きなコストとなっています。
また、利用者にとって、購買記録が筒抜けになるというプライバシー上のリスクが存在しました。しかしプライバシー保護に優れた仮想通貨を利用すると、そういった心配から解放されることになります。
仮想通貨にはボラティリティの高さなどの安定性に課題はありますが、リブラのように複数の法定通貨と価値を連動させるといった新しい仕組みも考え出されています。
資産の全てをデジタル通貨で保有することはおススメできませんが、便利な決済方法として、今後のキャッシュレス社会の中で大きな役割を果たすことができます。
ユーティリティトークン
例:イーサリアム(ETH)、EOS(EOS)、バイナンスコイン(BNB)、カルダノ(ADA)
ユーティリティトークンは、『通貨』という枠組みにとらわれることなく、特定のネットワーク上のサービス利用などの際に利用されます。
イーサリアムは、DApps(分散型アプリケーション)のプラットフォームとして広く利用されています。
スマートコントラクト機能を利用し、新しい仮想通貨を作るための資金調達(ICO)を行うこともできます。
ユーティリティトークンへの投資は、将来的に大きな利益を産み出すことがありますが、同時に無価値になってしまうというリスクも抱えているので注意が必要です。
セキュリティトークン
例:テザー(USDT)
セキュリティトークンは、実在する証券などの資産をブロックチェーン上のトークンとして表したものです。
証券などの問題点は、流動性の低さと売買コストの高さです。
そこで、証券などをトークン化し、仮想通貨取引所で売買できるようにすることで、流動性を高め、売買コストを抑えることを可能にしました。
しかし、セキュリティトークンに問題がないわけではありません。
セキュリティトークンとして最も利用されているテザーは米ドルをトークン化したものですが、テザーを発行するテザー社は、本当に価値の裏付けとなる米ドルを保有しているかが未だ証明されていません。
セキュリティトークンは、信用性が失われると、価格が暴落してしまう可能性があります。
まとめ
一口に「仮想通貨」といっても、様々なものがあります。時価総額のTOP3であるビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)は、それぞれが全く異なる目的や特徴を持っています。
同じ仮想通貨ではあっても、単純に比較することはできません。
今回ご紹介した4タイプの分類も、一つの考え方です。もちろん、別のタイプ分けもできます。
自分が注目する仮想通貨は、いったいどんなタイプの仮想通貨なのでしょう?時間があるときに研究してみるのも楽しいですよ。
参照記事
The Various Cryptocurrencies - A Framework to Understanding Crypto-assets